ヘッケルの反復説

エルンスト・ヘッケル(1834-1919)は、ダーウィンの進化論を支持し、「個体発生は系統発生を繰り返す」という説(反復説)を唱えました。それは、生物が胚(受精卵から発生し独立するまでの個体)から成長する際、共通の祖先から進化した過程を繰り返すという説です。

彼はこれを証明するために、脊椎動物の胚の成長を比較した絵を描きました。この絵は今でも教科書に載せられていますが、これがねつ造であることは彼の時代から知られていました。

まず彼は、最も似た胚を選択しました。次に胚の絵に、心臓など重要な部分を削除するなどの修正を加えました。また胚の大きさは1~10mmと様々ですが、全て同じサイズに描きました。さらに成長の初期として描かれた胚は、実際は初期の段階ではありませんでした。脊椎動物の胚は発達の中ほどで少し似通る段階がありますが、実際の初期の胚は著しく異なっています。しかし彼は各動物のその段階のみを選んで描いたのです。

このように反復説は明らかなねつ造に基づいた説であり、現在は一部の進化論者からも否定されています。胚の形状から生物が共通の祖先を持つと言うことはできません。

実際の胚の写真
ヘッケルが描いた胚の絵(左)と実際の胚の写真(右)(クリックで拡大)
(理学博士 吉尾圭司)
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