ウィルス進化論

ハリネズミの遺伝子がオオカミに組み込まれることによって、背中に針を搭載したオオカミが誕生し、人間と闘う…。 というフィクション映画があります(ランペイジ 巨獣大乱闘 2018アメリカ)。

この映画で、生物から生物への遺伝子移動によって生物が強大化したように、ウィルスが遺伝子を生物から生物に運ぶ「運び屋」となって、進化が起きたー
これがウィルス進化論です。日本では中原英臣医学博士らにより提唱され、ダーウィン進化論を超える説の一つとして挙げられています。(参考資料1)

このウィルス進化論が登場した背景には、DNA研究による二つの発見があります。その一つは、「レトロウィルス」というウィルスの「逆転写酵素」の発見です。

逆転写酵素ー「遺伝子の運び屋」のアイテム

生物の遺伝子はDNAと呼ばれ、2本のひもが螺旋状に絡まった構造をしています。このDNAをコピー・アンド・ペーストして増やす役目を果たすのがRNAです。

逆転写酵素とは、RNAが逆に自分をコピー・アンド・ペーストすることを可能にします。逆転写酵素により、RNAからDNAが作られるという、通常と逆のことが起こります。その酵素があることにより、レトロウィルスは自分のRNAからDNAを複製できるのです。(参考資料2)

逆転写酵素とは?

そうして複製されたウィルスのDNAがウィルスに感染した生物自身のDNAに侵入し、その生物の遺伝子が変わる。(参考資料3) つまりウィルスが逆転写酵素というアイテムを持つ遺伝子の運び屋として、人に感染する。そしてその変化した遺伝子が、子孫に受け継がれることが進化なのだと主張するのが、ウィルス進化論です。

遺伝子の運び屋

ウィルス化石とも呼ばれるレトロウィルスフラグメント

もう一つの発見はレトロウィルスフラグメント(フラグメント=断片)です。多くの生物は、このレトロウィルスの遺伝子配列に似た遺伝子のフラグメントを持っており、人間もまた持っているという研究結果です。(参考資料4)

このフラグメントはウィルス化石とも呼ばれ、生物が遺伝子の運び屋であるウィルスの感染を繰り返すことにより、遺伝子が変化して進化してきた証拠と提唱されてきました。(参考資料5)

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