「原点に返れ」とはよく耳にする言葉です。ところで、この言葉は「信仰の原点に返れ」と、その昔、ルネッサンス時代、ヨーロッパではじまりました。その当時の人々は、神様から離れて、幸せを手にしようとしました。しかし、彼らが手にしたものは、人間の堕落と人生の空しさであったのです。彼らは神様を抜きにした人生こそが、堕落と荒廃であることに気づき、「神様のところに返ろう」と呼びかけたのです。
私たちも生活の向上を目指してガムシャラに働いてきました。その努力の末、日本は物質的にも、教育水準も他の国に劣らない豊かな国となりました。私たちの生活水準は、昔に比べたら非常に便利となったのです。ところが、私たちが実際に手にしたものは、環境破壊と人間の荒廃ではないでしょうか。どこかがおかしいと思いませんか。
昨今の凶悪化した少年犯罪の報道に、私たちは聞くに耐えないものがあります。簡単に人を殺してしまうという彼らの行動は大変憂慮すべき事態です。彼らは、人間ひとりの命がどれほど尊く、価値のあるものかが全くわかっていません。一体何が原因で、彼らをそのような犯罪者としてしまうのでしょうか。ある中学校で「あなたは何のために生きていますか?」というアンケートをしたところ、答えになっていない答えがほとんどであったそうです。なぜ答えが出ないのでしょうか?
それは、「人間とは偶然に発生した生き物で、サルの子孫である。」という進化論を土台として考えているからです。 その土台にあっては、自分自身の存在目的も、生きる目的も知ることはできません。しかもその上、人生を非常に空しく感じ、後は惰性で生きるしかありません。命を、たまたま発生したものと考える者に、生命の価値を見出すことはできないのです。進化論を土台として成り立っている社会と教育の中から、私たちは、現在、何を刈り取っているのでしょうか。